国道249号線のトンネルが落ちているため、門前町へは輪島市の中心部からは行けません。従って能登半島の根元辺りから左に逸れて、ずっと海岸線を進みます。途中、左耳がかけてしまった「トトロ岩」を過ぎると、一面、異様な光景が広がります。海岸の隆起によって陸地がむき出しになっている黒島町の海岸線。これでは漁の船が出られません。地盤隆起によって、これほどの陸地ができてしまっている光景を初めて見ました。
そして門前町の西、諸岡地区に入ると両側の家が崩れ果て、見る影もありません。どれほどの激震が襲ったのか…。それにしても、この門前町には支援の手がとても薄いことが気になりました。やはりテレビで報道される珠洲市、輪島市(中心部)には人もモノも集まりますが、門前町はなかなか名前が出てきません。渋滞もなく砺波からも2時間半ほどで着きます。今後、この門前町を中心に活動する方向になりそうです。
諸岡の公民館に入ると、これまたアポなしなのに、みんなちゃんと話してくれます。そんな話をすると、
「大変な毎日だけれど、地区のつながりが強いからね。それが救いだよ」
とのこと。だから二次避難で金沢に移ったりすることはできるだけ避けたいと思っている人が多いことを改めて感じます。
みんなの今の願いは、避難所に留まって早急に仮設住居に移り、自分の街でできるだけのことをやりたいということでした。多くのみなさんがそれを強く願い、それを行政に訴えようとしていました。
「二次避難して、どっかの旅館に行けても、それは落ち着かん。自分の住み慣れた町に留まって、その町の復興に手を尽くしたい」
そんな本音が強く聞こえてきました。
桑山 紀彦
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