Project南スーダン難民の心のケアプロジェクト

紛争が続く南スーダンから、安全と平和を求めて、多くの人がウガンダ北部へ難民として逃れています。紛争により家族を失ったり、離ればなれになってしまったり、それぞれに辛い経験を抱えています。その上で、見知らぬ土地での生活に過大なストレスを抱えて日々を送る南スーダン難民、そして、その人たちを受け入れているウガンダの人々への心理社会的支援プロジェクトを展開しています。

本プロジェクトが
始まったストーリー

2016年7月、南スーダン国内での武力衝突後、多くの難民が発生し、南に位置するウガンダへも毎年多くの難民が流入しています。その大半は子どもたちだと言われています。
南スーダン難民は自国での紛争体験、家族との離散、長期化する強制移住と不安定な生活環境、帰還の見通しが立たない不安や孤独感に苛まれ、多くの人が心的外傷(トラウマ)を抱えています。

ウガンダ北西部には南スーダン難民を受け入れるキャンプがあります。キャンプ内の社会的安定と紛争からの平和構築、その後の社会をどう生きていくかは課題であり、同時に、受け入れ側のウガンダ国民の理解と平和への意識も大切だと言われています。
そのため、2023年3月より、難民として逃れてきた人々への心のケアに加えて、受け入れ側のウガンダの人々へも心のケアを行ったり、そのノウハウを伝えたりすることで、広く地域の安定と共存に寄与できる取り組みをめざしています。

本プロジェクトの内容

私たちの行う心のケアはワークショップ実施と人材育成の2つが軸となります。
ワークショップでは、グループでの活動を主として、段階を踏んで表現の幅を広げ、つらい経験と向き合い、心の整理を促す取り組みです。活動の過程で、音楽や映画などの作品を制作し、広く社会に発表することで多くの人と思いを共有し、見た人自身も何かを考え行動するきっかけを作っています。また、活動の中で拠点となる「心理社会的支援センター」を設立し、そこでケアを行ったり、ケアを行える人材を育成したりしていきます。

心のケアワークショップの実施

  • 1二次元表現:写真言語法

    写真に吹き出しをつけて言葉を発したり、短い物語を作ったりして、話すことや想像することの土台を育みます。どんな発言でも温かく受け止め、その世界を広げるような問いかけをして創造性へとつなげていきます。また、大切なこと、好きなこと、嫌いなこと、などを書き出し、自分自身を知り、大切に思う心も育んでいきます。
  • 2二次元表現:描画

    子どもたちが親しみを持って取り組める「絵を描く」ことを通して、表現することに慣れてもらいます。簡単なテーマから始め、最終的には心の傷に触れるような内容に取り組みます。心の中に閉じ込めているものを無理ない形で表現してもらいます。
  • 3三次元表現:粘土細工

    子どもたちが奥行きのある表現方法ができるように促し、物事を多面的に見る力を養います。テーマは二次元表現で描いたものの立体化です。また、白粘土をあえて使い、自由に色を塗るという作業で表現力を引き出します。
  • 4三次元表現:ジオラマ制作

    粘土を使い、記憶やストーリーを自由に、より現実に近い形で表現できるジオラマ。個人制作「忘れられない光景」では、辛い体験を吐き出し心の整理をします。集団制作「未来の街」は、紛争で失われた自分たちの街を、想像力と希望を持って再生していきます。
  • 5四次元表現:
    音楽ワークショップ

    まずグループごとに歌詞を紡ぎます。次に失われたものから価値を見出す取組として、廃材から楽器「ガレッキ」を作って合奏。最後に作成した歌と楽器で演奏、手話の振り付けもしてビデオ収録。たくさんの人に見てもらい、子どもたちの自信獲得に繋がります。
  • 6四次元表現:
    映画ワークショップ

    クラスで相談して短い物語を作り出し、撮影を行い、映画を完成させます。演劇と違ってシーンごとの撮影なので、セリフを覚えることや演ずることへの抵抗感を減らしながら、空間軸を使った演技表現を行っていきます。
  • 7四次元表現:
    演劇ワークショップ

    演技に親しんだ子どもたちは、舞台で観客を目の前に臨場感のある演技を目指します。立場を変えながら演じることで、心は広がり、様々な体験を受け入れたり受け止めたりできるようになります。そのため、心のケアの最後のプログラムに演劇をすえています。
  • 8最終発表会

    年に1回、最終発表の日を迎えます。1年間の作品づくりの大切な発表会。家族や先生方、地域の人々に来てもらい、大発表会を経験。人の前にでて、自分たちでつくった作品を発表する。それこそトラウマからの回復の第3段階「社会との再結合」を意味します。

心のケア実践者・人材の育成

  • ファシリテーターの養成

    心のケアを地域に根付かせるために、現地の担い手育成として、現場実践と年間数回のセミナーを通して、心のケアのワークショップファシリテーターの実践力を育てます。
  • 心理社会的支援センターの設立

    心のケアの活動の中で拠点となる「心理社会的支援センター」を設立し、そこでケアを行ったり、ケアを行える人材を育成したりしていきます。
  • マニュアルの作成

    心のケアの必要性や可能性を広めていくためのマニュアルを作成し、心のケアの実践者、必要性を理解する人材、ワークショップファシリテーターの育成に利用します。

プロジェクト概要

活動地 ウガンダ北部にあるユンべ県(南スーダン難民居住区を含む)
対象者 南スーダン難民、ウガンダ人
対象期間 2023年3月21日〜2026年3月20日
現地連携団体 TPO Uganda
資金 外務省NGO連携無償資金協力(N連)

現地スタッフ

  • ハリエット(Dozu Harriet Cafenol)

    アシスタント プロジェクトマネージャー

    フロントラインの心理社会的支援を通して、回復力や困難に立ち向かう力を身につけ、心に傷を受けた子どもがすばらしい未来があると希望を持てるよう、全力を尽くします。

  • デイビッド(Alege Vavid)

    フィールド・オフィサー

    フロントラインで働けることはとてもうれしいです。心理社会的支援を必要としている人たちが人生を変えていけるようがんばります。

  • ジュリウス(Apeku Julius)

    フィールド・オフィサー

    これまでに学んだ道徳と精神性に満ちた人間社会、持続可能な平和と紛争管理を生かして平和構築に取り組みます。激動する社会で、精神的にも社会的にも人がよくあろうとすることをサポートしたいと思います。

  • サルマ(Benanwa Salma Consolate)

    フォールド・オフィサー

    フロントラインで心理社会的支援のスキルを身につけ、心に傷を負った子どもや全ての人々が回復し、解放されるようがんばります。

本プロジェクトの
活動レポート

(ウガンダ事業)保護者ミーティング 支援事業

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(ウガンダ事業)スタッフの成長を感じた1週間 支援事業

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帰国しました 支援事業

帰国しました

たった1時間の演技力 支援事業

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帰路〜空港まで12時間の道のり 支援事業

帰路〜空港まで12時間の道のり

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