Project東ティモール保健ボランティア育成プロジェクト

本プロジェクトが
始まったストーリー

2014年1月より、JICA草の根技術協力事業のスキームを使い、事業を展開しました。
首都ディリから車で2時間ほどのエルメラ県都グレノに事務所を置き、看護師・保健師・助産師の資格を持つ菊地陽さんが駐在し、現地スタッフとともに事業にあたってきました。
活動地となる村はグレノからさらに山間部に入り、1時間半から2時間半ほどの場所に点在する村々です。

東ティモールでは医療施設や医療従事者が圧倒的に不足する中、住民を巻き込んだ地域保健の活性化をめざし、2008年からSISCa(包括的地域保健サービス)を国の保健政策の優先課題としてきました。無医村が多い地方の隅々まで保健医療サービスを提供するために、ヘルスセンターが各地区を月に一度、巡回診療すること、住民から選ばれたヘルスボランティアが中心となり、健康づくりに取り組むことをうたっています。しかし、うまくっている地域が少ないのが現状です。

本事業ではエルメラ県ハトリア郡の7つの村を対象に、SISCaがよりスムーズに行われるよう、「人づくり」「仕組みづくり」を通して、確実な基礎医療の提供と村の住民自ら病気の予防や健康づくりができることをめざしてきました。

本プロジェクトの内容

保健ボランティアという人づくりを通して、東ティモールエルメラ県ハトリア郡の7つの村を対象に地域保健事業をおこないました。

ヘルスボランティアの選出

2014年4月、対象となる7つの村全てで住民会議を開催し、ヘルスボランティア34名を選出、5月にはセミナーを開催しました。
患者さんの搬送や内服継続を拒否する患者さんに対する効果的なカウンセリング方法、妊産婦の危険の兆候、栄養失調児の見分け方と対応、下痢の時に飲む経口補水役の作り方といった実技中心の内容を実施しました。

健康マップの制作

ヘルスボランティアからは「もっと学びたい」との意見も聞かれ、学ぶ喜びを感じてくれたようです。今後も定期的にヘルスボランティアの技術や知識を向上させるためのセミナーを開催してきました。
また、村の世帯数やハイリスクのアンジャさんを把握できるようにするための「健康マップづくり」も制作し、それぞれの村の健康課題を把握できるようにしています。

医療スタッフの育成 学びの場

「面倒だからSISCaに行かない」「緊急患者の連絡が入ってもしらんぷり」そんなことが日常茶飯事になっているハトリア郡保健センターの医療スタッフのみなさん。彼らに問題意識とSISCaを行うことで得られる利益を認識してもらうために、PCM手法を使用した会議を開催してきました。
また、SISCaを行うたびに不足している実技指導も行っています。その甲斐あって、SISCaに参加するスタッフややるべき当たり前の任務を実施できるスタッフが増えてきたように思います。

ヘルスボランティアセミナー

ヘルスボランティアを育成しても、彼らを支える医療機関やコミュニティーの協力体制がしっかりしていなければ、住民の健康は守れません。
そのため、村長や市長、神父、警察、コミュニティー開発、関係機関のNGO、保健省に協力を仰ぎ、緊急搬送やハイリスクの患者さんの連絡システム作りを進めてきました。
関係機関を集め、7村に共通していた緊急搬送システムの問題やSISCa実施における問題を共有し、具体的な対策を話しあう場を作ることも活動のひとつです。

人と関わり、人を支える
支援活動の実施にご協力ください。

みなさまからの寄付や物資支援、協働といった応援によって、
現地の人の未来を長期にわたってより良くする海外支援を
より多くの人に届けることができます。