能登半島地震の被災地、輪島に入りました。
想像を超えて、ひどい破壊の状況でした。
焼失した朝市の惨状。倒壊したビル。何より、道路の破壊が想像以上でした。そのため水道の回復は相当の時間かかりそうだし、輪島に通じる道が国道249号線のみで、それもボコボコなので、非常に渋滞しています。それでも少しずつ道路状況は改善しています。
今日は一緒に組んでいるGNJPの原口さんと避難所を回りました。運転は全て砺波在住の柳瀬恵子さん(うちの監事)。本当にすばらしい人脈でここにつながっています。
輪島の人は接するとすぐに心開いてくださり、いろんな話をしてくれます。今までいろんな被災地で働きましたが、こんなふうにすんなりと受け入れてもらえるのもめずらしいかも。あとは自分の「避難所に初見で入っていく技能」が向上したようにも思います。いろんな避難所でいろんな人と会ってきましたので…。
震災から20日。ついに「心のケアの重要な段階」に入ったことを確信しました。みんなあの日のことを話したくなってきている。つまり「聞いてくれる人」を求めている段階に入ったということです。この時期から約半年、「よき聴き手」を得て、できるだけ自分の思いをちゃんと言葉(子どもにとっては“形“)にすることが大切ですが、その時期に来ていることを強く感じました。
そんな中で出会ったのが龍馬さんでした。
今回の震災で自宅とお母さんを失い、お父さんと避難所に暮らしていました。
「オカン(お母さん)を失って親父は途方に暮れているし、自分はそんな父親に対してどう接するといいかわからんし。これからどうしたらいいのかもわからんし…」
Japan Heartから派遣されている看護師さんも、
「接するのが難しい人」
と思っていました。でも今日の龍馬さんは違いました。
「3日前に、オカンが夢の中に出てきたんですよ。それこそはっきりと、まるでそこにいるいつものオカンのように、ちゃんとお気に入りの割烹着を着てました。
そして、本当にそこにいるみたいに僕に言うんです。
”私んことは心配せんでええ。あんたは父ちゃんとしっかり生きな!”
ってそう言ったんです。絶対にオカンはここに来てくれたんやな、って思えました。
目覚めたときは、涙が滝のように流れて止まらんかったけど、このことを境にものすごく心がすっきりして…。
オレ、オカンの最期の姿は後ろ姿やったんです。直後に家が崩れて、オレは背丈が通るだけの空間があったから命からがら外に出られたけど、オカンはダメでした。
なんであんときこうせんかったんやとか、どうしてあんときこうせんかったんや、ってずっと後悔ばっかりしていたけれど、オカンはそんなオレを叱り飛ばしてくれたんです。
“何くよくよしてんねん!“
って。だからオレも、しっかり生きンとなあ、って思えました」
初めて会った僕に、こんな大切な話をしてくれた龍馬さん。今回はテレビ局が密着取材されていますが、あえてお願いしたらちゃんとカメラの前でも話してくれました。
向き合うチカラを持ったすごい人たちが輪島にはたくさんいます。
最後に龍馬さんが、
「オカンのことを少しでも残しておきたくて。テレビの前でしゃべることもオカンのためになるかもって思って…」
子どもだけではなく大人のみなさんも含めたの心のケア。いよいよ2月からGNJPさんと共に開始の予定で動いています。
明日は、孤立している門前に町に入ります。今日訪れた輪島市教育委員会の方に勧められました。あの小川教育長さんにも会うことができました。ここが心のケアの始まりの街になる可能性があります。
桑山 紀彦
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