その青年は、ファシリテーター養成講座の一員としてそこに座っていました。
最初から闊達に動き、発言していました。彼の名前はリチャード・タブ。32歳。南スーダン難民でした。
「私は南スーダンに生まれ育った。小さい頃はそれなりに幸せだったけれど、どんどん戦争の影が忍び寄ってきたので、両親は私たちを連れてウガンダに逃げた。私が13歳の時だった。高校に進むと、私は故郷の南スーダンのことがとても気になるようになった。そこで止める両親を残して、叔父の住む南スーダンのジェベルという町に単身で戻った。しかし、戦争は思いのほかひどく、ある日、グデレという町にいたとき、軍に囲まれてしまった。2日間、死ぬ思いで息を潜めて生き残り、3日目にジュベルに戻ろうとしたが、その道の両側には累々とご遺体が転がっていた。この世の地獄の光景だった。
それでもなんとかジュベルに戻り、叔父と話し合った。この国にいれば命はない、と。
そして私は2度目の難民となり、またウガンダの両親の元へ帰った。
先生の資格を取ろうとしたが、お金がなくて最後まで続けることはできなかった。いろんな仕事をしてきたが、どうしても子どもと関わりたいので、アニメーターという資格を取り、今は国際NGOのADRAで働いている。子どもたちと一緒に遊ぶことで心をほぐす役割だ。
自分の人生はトラウマの連続だったと言ってもいい。しかし、いつも自分のことは自分で決めてきた。南スーダンに戻ったことも自分の意志だった。何かに流されるのではなく、どんな困難があっても自分の意志で決めたことには後悔がない。そう思って生きてきた。
トラウマに向き合う事はとても労力が必要だ。しかし、今日の音楽ワークショップで自分は心底驚き感動した。歌詞にしたのは確かに辛いトラウマだ。しかし、みんなで歌詞を作った達成感と、何度も大きな声で歌うことで心の中のトラウマが変化していく。その辛い記憶と感情と共に生きていてもいいのだという気持ちが、心の中に満ちあふれた。
歌い終わった後に、大きな感情が押し寄せてきた。それはこれからの自分がトラウマと共に生きていく決心と、それを支えてくれる勇気という心のエネルギーだった。この手法を多くの子どもたちに提供したい」
僕が伝えたいことは、全てリチャードの言葉の中にありました。
どの動画を見ても、リチャードが一番大きな声で、大きな振りで歌っています。
どんなにひどい戦争のトラウマも、人の歌う力を奪うことはできません。
桑山 紀彦
追記
画面中央、赤いマラカスを持っているのがリチャードです。
秋のシリーズの始まり
高校時代の同窓会
(ウガンダ事業)スタッフの成長を感じた1週間
NHKクルーと一緒に山登り
ローマ教皇が東ティモールを訪問!
帰国しました
たった1時間の演技力
帰路〜空港まで12時間の道のり
リチャードの物語
映像と演技の持つチカラ
音楽の持つチカラ
18歳の6年生、オイキの物語
ウガンダに入国しました
ウガンダに出発します
(東ティモール事業)エコー検査の研修を実施しました!
取り憑かれたように…
ウガンダでの片野田専門家の活動
青森の船橋さん
九州とのつながり
国際教育研究大会
能登半島地震から7ヶ月
神戸、そして四国へ
山藤さんという存在
帰国します
業務提携を締結しました
本当に、善き人々
トラウマに向き合うウクライナ人
心のケアに必要な多層支援
恐るべし停電、空爆、そしてGood Samaritan!
頻発する停電
ウクライナに出発します
ひさしぶりの茅ヶ崎公演
仮設住宅に集会所がない
能登半島地震から半年近く
広島県三原市、2公演
ついに20年!
松永さんとの時間
NHKラジオ第1〜聞き逃し配信はこちら
こんな中でも活動が
朝日新聞全国紙一面トップ
限界に近づくラファ
異様な緊張感
ナーセルさん
いよいよテント生活が始まった
モハマッドと話せました
いつも君を思う
モハマッドからの報告
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ラファに迫る危機
ガザのことをどう伝えていくか
すごい再会
あの日から半年
第1回ワークショップ大成功
岐阜県笠松町
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13年目の3月11日
エコー症例検討会
天皇誕生日レセプション
歳を取っても…
緊急人道支援学会〜第1回大会
ついに食料配布開始!〜ガザ
モルドバという国
オデーサという街
キーウで出会うおみやげ
忘れないという想い
虐殺の街ブチャ
もう一つの“奇跡”
映画「奇跡」完成
1日セミナーを開催
表現力
短編映画の制作
最終発表会、無事終了
ウクライナ支援に出かけます
能登半島地震〜現場で見えてきたこと
避難所の子どもたち
被災地、門前町
涙が止まらない
能登半島地震の支援に向けて
今年初公演と能登半島地震について
伝えていくこと
モハマッドからのメッセージ
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