Projectウクライナ戦争被災者への心のケアプロジェクト

ロシアによる軍事侵攻が長期化するウクライナでは、多くの人々が家族や住まい、日常を失い、繰り返される攻撃の中で大きな心の傷を抱えながら生活しています。特に南部オデーサ市では、国内避難民を含む多くの住民が不安やストレスを抱え続けています。私たちは、戦争の影響を受けた子どもから大人までを対象に、地域に根ざした心理社会的支援を行うとともに、現地で支援を担う人材を育成するプロジェクトを展開することで、戦争で被災した人々の心のケアを行なっています。

本プロジェクトが
始まったストーリー

2022年2月、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、多くの人々が国内外への避難を余儀なくされました。南部オデーサ市には国内各地から多くの避難者が流入し、現在も住民と避難者の双方が戦争の影響を受けながら生活しています。

戦争が長期化するウクライナでは、人々は日々大きなストレスを抱えながら生活しています。繰り返される空爆により、大切な家族や住まい、日常を失う人が後を絶ちません。南部オデーサ市でもドローンやミサイルによる攻撃が日常的に続き、多くの住民が死傷するとともに、インフラへの攻撃による長時間の停電などで生活にも大きな影響が生じています。こうした辛い体験や喪失感を抱えたまま過ごすことは、PTSDをはじめとする心の不調につながり、日常生活にも大きな影響を及ぼします。

そのため、2024年11月より、戦争で被災した人々に心理社会的支援を提供するとともに、継続的な心のケアが行えるよう、地域人材を育成や体制づくりに取り組んでいます。

本プロジェクトの内容

本プロジェクトでは、子どもから大人までの戦争被災者を対象に、さまざまな表現活動や対話を通して自分の気持ちを表現し、出来事と感情を整理しながら心の回復を支援します。また、ウクライナの人々が継続して心理社会的支援を得られるように、地域人材の育成と心理社会的支援を提供できる仕組みを構築しています。こうした活動を通じて、人々が自分らしさや他者とのつながりを取り戻し、困難な状況の中でも前向きに生活していける地域社会を育んでいきます。

心のケアワークショップの実施

  • 二次元表現:写真言語法

    写真に吹き出しをつけて言葉を発したり、短い物語を作ったりして、話すことや想像することの土台を育みます。どんな発言でも温かく受け止め、その世界を広げるような問いかけをして創造性へとつなげていきます。また、大切なこと、好きなこと、嫌いなこと、などを書き出し、自分自身を知り、大切に思う心も育んでいきます。
  • 二次元表現:描画

    親しみを持って取り組める「絵を描く」ことを通して、表現することに慣れてもらいます。簡単なテーマから始め、最終的には心の傷に触れるような内容に取り組みます。心の中に閉じ込めているものを無理ない形で表現してもらいます。
  • 三次元表現:粘土細工

    奥行きのある表現方法ができるように促し、物事を多面的に見る力を養います。テーマは二次元表現で描いたものの立体化です。また、1本の毛糸を人生に見立てて、その時々のできごとに粘土で作ったアイコンをつけ、自分の人生を振り返るワークも行います。
  • 三次元表現:ジオラマ制作

    立体表現に慣れてきたら、できごとや風景を制作するジオラマに取り組みます。体験が個々に異なるもの「忘れられない体験」のようなテーマは個人制作で、復興後を考える「未来の街づくり」のようなテーマは集団で制作します。過去から未来へとつながる「再生」テーマにすることで、想像力や活力を取り戻していきます。
  • 四次元表現:音楽ワークショップ

    トラウマにつながるテーマに沿ってキーワードを書き出し、音楽にあう歌詞を作ります。そこには「感情」につながる言葉も盛り込みます。音楽にのせてみんなで歌うことでその物語を追体験し、気持ちを整理して前向きなものへと導いていきます。
  • 四次元表現:映画ワークショップ

    グループで相談して短い物語を作り、役を決めて演じていきます。シーンごとに撮影することで、セリフや演技への抵抗感を減らし、自分と異なる体験を表現することに慣れていきます。シーンをつなぎ1本の作品になったら、みんなで鑑賞会を行います。
  • 最終発表会

    活動の集大成として、家族や保護者を集めて発表会を行います。作品の展示や上映、それについての発表を行います。そこでの評価や賞賛は、自分の体験が社会の役に立つことの表れでもあり、自分の体験や存在を肯定的に捉え直すトラウマからの回復の場となります。

心のケア実践者・人材の育成

  • ファシリテーターの養成

    心理社会的支援を地域に根付かせるために、支援を提供できるファシリテーターを養成しています。
  • 心理社会的支援のノウハウの普及

    心理社会的支援の視点やノウハウを活かしていけるよう、現地ソーシャルワーカーや教育現場の人々に心理社会的支援の概要や手法について講座を開催しています。

プロジェクト概要

活動地 ウクライナ南部のオデーサ市
対象者 国内避難民やオデーサ市民などの戦争被災者
対象期間 2024年11月〜継続中
現地連携団体 Good Samaritan
資金 ジャパンプラットフォーム(JPF)

提携団体スタッフ

  • マリーナ(Marina)

    現地プロジェクトマネージャ/心理士

    長期化する戦争によるストレスや疲弊が蓄積する中、心理社会的支援を継続し、深刻なPTSDやうつなどの予防につなげていければと思います。人々の心の健康を守ることで、家族や子どもたちの安心、そして地域社会全体の安定と復興を支えていきます。

  • オルガ(Olha)

    現地会計

    参加者にとって心理社会的支援の活動は、困難な状況の中で安心し、受け入れられ、心を 休められる「支えの場」となっています。地球のステージは、深い理解と思いやりを持ちながら、ウクライナの人々に寄り添う活動を実施しており、大きな信頼を寄せています。

  • ダニエル(Daniel)

    PSSファシリテーター

    戦争による深い心の傷を抱える人々が継続的な活動を通して、日常生活の意味を再び見出せるように、従来のカウンセリングに行きにくい人々へ心理社会支援で安心して回復へ向かえる身近な場を提供し続けていきます。

  • ユリア(Yulia)

    PSSファシリテーター

    創作や対話などを通して、人々が心を癒やし、自分自身や他者とのつながりを取り戻せる場をつくっていきたいです。攻撃が日常化するオデーサで、安心して、孤独や不安を和らげられる時間を届け続けます。

  • ビクトリア(Victoriya)

    PSSアシスタント

    戦争による深い心の傷を抱える人々が、運動や音楽、安心できる環境を通して、少しずつ笑顔や人とのつながりを取り戻せるようなればと願っています。孤立している人々に、誰もが利用しやすく、継続的に心の回復を支える場を提供し続けたいと思います。

  • マーシャ(Masha)

    PSSアシスタント

    創作や会話を通して、ありのままの自分で安心して過ごせる場をつくっていければと思っています。日常の笑顔の裏に大きなストレスを抱えるオデーサの人々が、安心して気持ちを分かち合い、心を休めて力を取り戻せるよう支えていきたいです。

  • カテリーナ(Kateryna)

    PSSボランティア

    活動では、痛みを無理に言葉にするのではなく、粘土や写真などの創作活動を通して、自分のペースで気持ちに向き合える場を大切にしています。人とのつながりを感じながら、少しずつ心を開いていけるこのプロジェクトに大きな価値を感じています。

  • オレーナ(Olena)

    PSSボランティア

    忙しさの中で自分の心の状態に気づけない人が安心して思いを語り、トラウマと向き合いながら未来を考えられる場をつくっていきたいです。攻撃にさらされるオデーサの人々が、心の傷と向き合い、未来への一歩を踏み出せるよう支えていきたいです。

本プロジェクトの
活動レポート

危機的なオデーサの冬 支援事業

危機的なオデーサの冬

新年に思うこと 支援事業

新年に思うこと

活動は順調! 支援事業

活動は順調!

ガラツでのセミナーが始まりました 支援事業

ガラツでのセミナーが始まりました

ルーマニア国境の街、ガラツ 支援事業

ルーマニア国境の街、ガラツ

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