震災学習

2014年度より文部科学省より委託を受け、「いのちを語りつぐ会」が主体となって、宮城県内の学校、自治体、各種団体(PTA連合会、先生方の研修会、NPOなど)を対象に「被災地・閖上からいのちを考える」震災学習を行っています。
 私たち地球のステージはその実施団体として、参加者と共に震災と向き合ってきました。2015年度は継続。2016年度からは「プラットホーム事業」と名称を変えながらも動揺のスキームが得られ、多くの学校をまわっています。

2014年度の震災学習の報告

1つ目は被災地閖上に来ていただき、自分の目で被災地を見つめ、五感を研ぎ澄ませて何かを感じとる取り組みです。
 バスに乗って、震災前、閖上に住んでいた案内ガイドのみなさんと一緒に被災地をまわります。震災前の街の様子、東日本大震災の日、その人はどう行動したのか、街の人々はどうだったのか、そして被災後の生活やこれからのことなどたくさんのことを共有してきました。

 その後、地図と指令書をたよりに閖上の街を自分の足で歩く「失われた時を求めて」のワークショップを体験しました。実際に閖上を歩いてみると、家々の基礎が草の中に隠れていたり、残された生活道具が落ちていたり、そこに人々の営みがあったことが伝わってきます。

指令書に従ってたどり着くのは、かつてそこにあった誰かの家やお店だったり、病院や郵便局のように人が集う場所だったりします。そこに置かれた「時のカプセル」の中には、どんな場所だったのか、どんな人が住んでいて、その人は今どうしているのかが書かれた紙が入っています。それを読みながらその人の人生に思いを馳せ、想像力を膨らませて、その人やそこにあった暮らしに近づいていきます。ワークショップの最後には、歩きながら感じたことをワークシートに紡ぎ出してもらいます。

 そして出発地点であった閖上中学校に戻り、みんなで振り返りのワークショップを行いました。実際に自分の足で歩くことで五感で感じることが出来、命の大切さを身をもって知ることのできる大きな成果のあるワークショップでした。

 それに加えて、被災地閖上を舞台にした映画「ふしぎな石~閖上の海」あるいは東日本大震災やその後の被災地の歩みをまとめた「いのちのステージ」の鑑賞と閖上の語り部さんのお話を組み合わせた震災学習を行いました。こちらは学校や地域の施設に講師が赴いて行います。
 映画もステージもテーマは「人々の生きる姿」と「いのちの大切さ」です。辛い体験をしましたが、それにめげず、きちんと震災と向き合って乗り越えようとしている人がたくさんいます。私たちはその姿に勇気づけられ、時に被災した他の人たちの背中を押してくれることもあります。自分たちの体験を伝えることで、次の災害のときに守れるいのちがある。そんな思いを伝えようとしています。

 閖上にはかつて5000人以上の方が暮らしていました。しかし、地震とその後の津波によって街は大きな被害を受け、700名以上の尊いいのちが失われました。家族や友人を亡くし、家や職場を失い、多くの人が悲しみにくれました。それにもかかわらず、日本では自ら命を絶つ人が絶えず、学校でも「死ね」「消えろ」など、命を軽んじる言葉が聞こえ、いじめもなくなる気配がありません。
 被災地がつきつけられた現実を想像し共有することで、いのちの輝き、いのちの大切さを考えるきっかけになることを願って、震災学習を行っています。

2015年度の震災学習の報告

 いよいよかさ上げが本格的に始まり立ち入りができる地域が限られてきました。閖上中学校の解体も秒読みとなってしまい、私たちはハード面において学ぶものを失っていきました。津波の遺構と言われるようなものはほとんど残すことができず、名取市は被災した人々の気持ちに添うような様子もなく、淡々と津波の遺構を撤去していきました。
 そんな中私たちが目指したのはハードウエアを残すことではなく、ソフトウエアを残すという指向でした。つまり「人々の語り」です。
 まずは案内ガイドを増やし活発化させていきました。次々に失われていく震災以降にとらわれず、入れるギリギリの所をたどりながら被災地を案内して子どもたちに津波のこと、それからのことを感じてもらいました。そして必ず「閖上の記憶」に立ち寄ってもらい、「記憶の足跡」のビデオ鑑賞と語り部の言葉に触れてもらいました。
 一方学校へも出かけるようになっていきました。
 一つは「出張語り部」の講話。これは主に閖上中学校遺族会の丹野裕子さんと大川ゆかりさん、そして「閖上の記憶」館長の小齋正義さんにお願いしてきました。臨場感あふれるその語りに多くの子どもたちが「命の大切さ」を感じていきました。
 そしてもう一つが「いのちのステージ」です。これは「地球のステージ」の東日本大震災に関する”篇”を3つ集めて構成された特別版です。音楽と大画面の映像で、リアルに津波のこと、その後の復興のことを伝えてきました。

2016年度の震災学習の報告

 主に学校への出張講座を中心に展開してきました。
 今回は閖上中学校遺族会を代表する2人の語り部、丹野祐子さん、大川ゆかりさんを中心に構成してきました。文科省から宮城県教育委員会に委託された事業であるため、教育委員会が異なる仙台市はその対象に含まれず大変残念でした。しかし、多くの意識の高い学校からの要望があり、そのうちのいくつかは被災した学校からの依頼でした。
 そして「いのちのステージ」の公演です。こちらは音楽と大画面の映像を駆使したコンサートステージになっておりますが、小学生からを対象としているので、1,2年生にもわかりやすい亡いようで命のことを伝えました。
 中でも石巻市立山下中学校の公演では、津波で妹を失ったお姉さんが在席している学校です。校長先生はあえてそのお姉さんに「向き合うこと」を伝えたくて私たちの「いのちのステージ」を依頼してこられました。
 こうして、震災学習はいよいよ被災地や被災した子どもたちに近づき、共に向き合い命のことを考えるような機会を得ていきました。
 2017年度も同様の内容で宮城県内(仙台市以外)の学校をまわっていきます。